なぜパルス列仕様が
一般化されたインターフェースになったか?
なぜパルス列仕様が一般化されたインターフェースとなったか?:ダウンロード
1.パルス列の良い点
(1)位置と速度の情報を同時に表現可能 :定義は簡単です
パルスの数  :位置情報 、 パルスの間隔 :速度情報
(2)1パルス毎の同期性(速度と位置)を必要とする用途には適しています
具体的にはNC工作機械、多間接ロボット、ワイヤーボンダー、等の時間に対するワーク、又は ツールの空間位置制御(X、Y、Z)が必要な場合
2.パルス列の悪い点
(1)パルス列生成のプロセス、および生成方法が複雑です(簡単に言うと 「 難しい 」 )
最適な加減速カーブをどのようにきめるのか?(素人が決められるか?)
(2)サーボ応用製品の90%〜95%は、ワーク、又は ツールの空間位置制御(X、Y、Z)が必要ではありません
にもかかわらず、多軸制御(複数軸という意味で)を行う場合、汎用コントローラとして市場から購入できる商品は、大手ではF社、 M社のNC用多軸コントローラに限定されており、結果的に高価な物を購入しています。例えば、3軸〜5軸対応のコントローラで100万円前後 (ユーザにより価格が大幅に変動しますが)、ユーザが使う、使わないにかかわらず、円弧補間、曲面補間が標準機能として準備されています。 故に高価です。
その他のユーザ選択肢(パルス列でコントローラを構成する場合)としては
【シーケンサー(PLC)+(軸数×サーボユニット)】
になりますが、以下のような悪い点があります。
・ラダープログラムの作成費用が大幅に増加し「1品料理の専用機」には不向きです
(大型装置では、1000万円を越える場合があります)
・複数台作製の場合で、償却が可能な場合
(シーケンサの汎用性、フレキシブルな特性を利用して、価格には目をつぶります。但し、この種の機械の「デッドコピー機」が他社より出されると全く困ったことになります)
(3)これらの問題が、一般産業機械にサーボの導入が著しく遅れた理由の一つです
・高価格、且つ、難しい( 使用する人が極端に少なかった)
・機械装置の価格と性能が全くバランスしなかった
主題からそれますが、上記の理由で、ON−OFF制御の空圧、油圧しか選択肢に無かったことも、一般産業機械が空圧、油圧一辺倒になった要因と推察されます。
また、サーボ使用化技術が「お粗末」であったことも、導入が遅れた要因でサーボ職人が社内に居ないとなかなかサーボモータが使えませんでした。

「パルス列コントローラ」は「ユニバーサルなインターフェース」なるが故に、当然、ムダな仕様を包含しているのも事実です(円弧補間、球面補間動作等の「物削り」用機能)。

今後、どのようなインターフェースが一般産業向けの最適なインターフェース仕様となり得るのか? まずは、「パルス列」導入時の経緯を振り返りながら、最適な仕様は何かを考えます。

3.導入された技術的な歴史背景
アナログ・アンプの時代に指令だけがデジタル化されたNCコントローラに合わせる形でその変化は始まりました。
(1)サーボ制御にNCコントローラが導入された時、サーボアンプはまだアナログ方式でした。従って
(2)過渡期、綱引きが行われ、弱いサーボメーカに【D/Aコンバータ】を負担させられました
(3)1980年代半ばから現在まで
サーボアンプがデジタル化されパルス列でのインターフェースがそのまま採用されました
つまり、2軸、3軸の速度合成が必要になる、NC加工機、多間接ロボット、等 では「パルス列」仕様は有用ですが、円弧補間、球面補間等が必要でない一般産業機械では、 不用なインターフェースと言えます。

「ポイント−TO−ポイント」制御がメインである一般産業機械では、サーボの一つの動作をイベントと捉え、 イベント・ドリブンな制御を行う事がインターフェースの 無用な高価格化を抑え、且つ、簡単でわかりやすい操作方法であり、この自律分散型の弊社インターフェース こそが最適であると考えております。

言い換えると
「ここまで」「この速度で動け」との指令に対して、「動きました」と言う応答があればそれでOKであり、指定した「速度曲線」にどれくらい忠実に 動いたかは問題にされないサーボの動かし方が数多く存在するということです。

4.今後の推移
(1)弊社の動き
90%〜95%のサーボ・ユーザを対象に(と言うことは、NC工作機械、多関節ロボット業界等は対象としないで)創業以来、弊社は「自律分散方式」のサーボ・システムを 提唱させて頂いております。 そうすることにより、「どの位置に」「どれくらいの速度で」移動すればよいのか?を指定することで機械屋の言葉で、サーボの動作を言い表すことが可能となり、 「パルス列」と言う電気屋の概念を使用しないで、サーボを動かすことが可能となりました。 つまりサーボ職人は不要で、機械屋が機械をどのように動かしたいか?で回せるサーボを供給しております
(2)「パルス列」インターフェースの動き
無くならないインターフェースと考えますが、徐々に、必要十分条件を満たすユーザのみに

理由
・価格的なムダを省く
・自律分散化の流れ:パソコン、インターネット業界を見れば当然の流れです

パソコンでプリンターを用いて印字する場合を考えます。(文字「A」を20ポイントのサイズで)

パルス列インターフェースは次のように考えられます
(イ) 印字ヘッドをX、Y軸方向に、それぞれあるパルス間隔で、あるパルス数、動作させます
(ロ) X、Yの各点でZ軸を同期させ印字します
(ハ) 上記動作を組み合わせて文字「A」を印字します

自律分散のインターフェースの事例
(イ)パソコンから文字「A」を「何ポイントのサイズ」で印字せよと指令を出します
(ロ) プリンタ内部には予め、XYZ各軸の動きがデータ化されて記憶されているので、「何ポイントのA」を印字する場合は、 その指令をプリンタの小さな頭脳が解釈し、 記憶されているデータにもとづいてサーボモータを動かせばよい事になります。

言い換えると、パソコンの周辺機器は全て、自律分散化されたインターフェースで接続されています。
X、Y軸上の印字ヘッドをどのように動かすかは「どうでもよいわけで」、文字Aがあるサイズで印字出来たか?を問題にすべきであり、

サーボのユーザはサーボモータをいかに動かすかではなく、動いた結果、機械がどのような仕事をしたか?を問題にすれば良いわけです。

パルス列制御(インターフェース)は基本のやり方ではありますが、すべてのサーボアプリケーションで利用されるものではないことが、お分かりいただけたでしょうか?
参考:ブラシレス サーボアンプについて
(1)アナログアンプ、デジタルアンプ、パルス列、「イベントドリブンな動作」
初めは(1980年頃)、アナログアンプでスタートし、それ以前はブラシ付きDCモータを使用、もちろんサーボアンプは「アナログアンプ」でした

1986〜87年頃、アナログアンプ → デジタルアンプへの移行がスタートしました

パルス列でのインターフェースがNCコントローラとの繋ぎで一般的なものになりました

位置付け制御では「パルス列」制御の必要度は低いのですが、パルス列送りの高速化のために、インターフェース部の費用がかさむことと、多軸制御がやりにくくなると言う不利な点を持っています。
それに対して、位置付け制御に特化したダイアディックシステムズのサーボは(「パルス列」制御を採用しないで)自律分散制御、つまり、目的地までの位置情報と其の区間の最高速度を指定するだけで、サーボを簡単に動作させています。また、ポイントとポイントの間の速度曲線は、負荷に応じて最適なカーブを自動生成する仕組みが組み込まれています。

これを「イベント・ドリブンな動作」「自律分散制御」とも言います。

(2)「DCサーボ」と「ACサーボ」の違い・・市場での呼称の混乱について
ブラシレスサーボが市場に導入され始めた時点で、あるメーカが従来の定義を大きく変える用語の使用を始めた経緯があります

DCサーボ :ブラシ付きの直流機(DCモータ)を用いたサーボシステム

ACサーボ :交流サーボ(2相サーボモータ)を用いたサーボシステム
50Hz、60Hz、400Hzの交流励磁(固定側)を行い、制御相も交流電圧で制御したレゾルバ、インダクトシン等のフィードバック素子が用いられた時代。

まり、使用する電源の種別とモータ種別とで、DC、ACの名称をつけていました。

定義を大きく変えた変更後
使用する電源の種別に関係なく、且つ、モータの種別に関係なく、ブラシレスサーボに限定、ブラシレスサーボモータ(同期電動機)の励磁電流の波形形状により

サイン波状の励磁電流を用いてモータを動かす :ACサーボ

矩形波状の励磁電流を用いてモータを動かす :DCサーボ

と言う定義に「F社」が言い始め、業界がそれに追随し、以後、定着しました
(学会も定義・・・については物が言える程影響力が無くなっていた。あるいは、関心がなかったと思われます)

システムに使用する電源の種別により

交流電源AC100V、またはAC200Vを用いたサーボ :ACサーボ
直流電源DC24V、48V等を用いたサーボ :DCサーボ

と呼んでいると、世間一般では考えられていますが、これは間違いです。

ACサーボ、DCサーボという呼び方は、そのモータを回す電源がACかDCではなく、モータの巻線に流す電流波形による呼称です。

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